
不要に見える記事を消したらサイト全体のアクセスが激減した|原因が特定できない消し方はNG

私が制作に関わっていたサイトで、アクセスのない記事を中心に数十ページがまとめて削除されたことがあります。
その後、サイト全体の流入が大きく落ちました。
先に断っておくと、この記事は「記事を消したからアクセスが落ちた」という話ではありません。
正直に言うと、原因は今も特定できていません。
削除と同じ時期に、ほかの変動も重なっていたからです。
それでもこの記事を書くのは、原因が分からないなりに、確実に言えることが2つあるからです。
- そもそもこの削除は、目的を達成できない動機で行われていた
- 原因が特定できなくなるような消し方は、してはいけない
「アクセスのない記事は消した方がいい」とよく言われます。
でも、その判断、ちょっと待ってください。
目次
何が起きたか

ある商品ジャンルの専門サイトでの話です。
具体的な業種は伏せますが、「特定の商品名 + 取引」系のキーワード(たとえるなら「〇〇 通販」「〇〇 申し込み」のような、買う気・申し込む気のある検索)で集客したいサイトでした。
Search Consoleに邪魔なクエリが並んでいた
ところが、Google Search Consoleを見ると、狙っているキーワードはなかなか上位に来ない。
そのかわり、商品名に関連はするけれど、こちらのサービスとはまったく関係のないキーワードが、検索結果にズラッと並んでいました。
たとえば革靴のクリームを売りたいサイトなのに、Search Consoleに並ぶのは「革靴 手入れ 自分で」「革靴 臭い 取り方」ばかり⋯。
そんなイメージです。
商品ジャンルは重なっているのに、検索した人は何かを買いたいわけじゃない。
ただ困りごとを調べているだけ。
意図が全然違うのです。
「邪魔だから消そう」と数十ページ削除した
サイト側はこう考えました。
「狙った語が上に来ないのに、関係ない検索ばかり拾っている。この無関係なクエリが邪魔だ」と。
そして、それらのクエリを拾っていそうなページを、数十ページ単位でまとめて削除しました。
ここで一つ補足させてください。
消したのは、アクセスの少ないページや、狙いと無関係なクエリしか拾っていないページです。
つまり、サイトの集客を支えていた主力ではありません。
だから本来なら、これを消してもサイト全体の数字はほとんど動かないはず。
そう考えるのが普通です。
主力ではないページを消したのに、全体が落ちた
ところが、起きたのは逆でした。
消したページの分が減った、という話ではありません。
残したページや、本命で狙っていた流入まで含めて、サイト全体のアクセスが大きく落ちたのです。
主力ではないページを消しただけなのに、サイト全体が落ちた。
だからこそ「なぜ落ちたのか」が、よけいにわからなくなりました。
この削除には、私もコンテンツ制作の立場で関わっていました。
だからこそ、何が起きたのかを順を追って書きます。
なぜ「原因は特定できない」のか

まず、いちばん大事な前提から。
このアクセス減少を「削除のせいだ」と断言することは、私にはできません。
なぜなら、削除と同じ時期に、検索エンジン側の変動など、ほかの要因も動いていたからです。
ここがSEOの厄介なところで、効果も悪化も、数ヶ月遅れで出ます。
何かを変えて、その影響が数字に表れるまでにタイムラグがある。
だから、一度にいくつもの変数を動かすと、後から「何が効いたのか」を切り分けられなくなります。
今回も、削除のタイミングで複数のことが重なった結果、原因の特定が事実上できなくなりました。
ここから引き出せる教訓は、因果がはっきりしなくても言えます。
数十ページを一気に消す、というのは「追える範囲」を完全に超えています。
仮にこの削除が正しかったとしても、検証のしようがない。
それ自体が問題です。
そもそも、この削除は「やっても狙いが叶わない」

因果の話とは別に、もう一つはっきり言えることがあります。
この削除は、動機の時点で目的を達成できない、ということです。
ここを理解するには、Search Consoleのクエリが何なのかを押さえる必要があります。
Search Consoleのクエリは「成績表」であって「設定」ではない
Search Consoleに並ぶ検索キーワードは、サイトの成績表です。
「このサイトは、結果としてこういう語で表示されていますよ」という記録に過ぎません。
これは、自分で設定するリストではありません。
ここを勘違いすると、操作の方向を完全に間違えます。
整理するとこうなります。
- 狙った語が上位に来ない → その語で、まだGoogleに評価されていない、という結果
- 無関係なクエリばかり並ぶ → 本命の語で評価されていないから、雑多な語でしか拾われていない、その結果
どちらも「原因」ではなく「結果」です。
つまり、無関係なクエリを拾っているページを消しても、本命のキーワードの評価が上がる材料には、一切なりません。
Googleは「無関係な記事が減ったから、本命のキーワードを上げてあげよう」とは動きません。
そんな仕組みはどこにもないからです。
消して失うもの
では、ページを消すと何が起きるか。失われるのは、そのページが持っていた次のものです。
- 表示回数とクリック
- 内部リンク
- クロール対象としての存在
これらはすべて、サイト全体の地力を支えていた要素です。
無関係なクエリを拾っていたページであっても、サイト全体から見れば資産の一部でした。
つまり、「邪魔なクエリを消したい」という動機自体が、SEOの仕組みから見るとどうやっても目的を達成しない行動だったわけです。
雑音は消えるかもしれない。
でも、欲しかったもの(本命の順位)は何も手に入らない。
下手をすると、本命を支えていた地力まで道連れに落ちる。
Search Consoleの数字をどう見て、毎月何をチェックすればいいかは、Search Consoleで毎月チェックすべき3つのことで具体的に書いているので、あわせて読んでみてください。
それでも消すなら|「削除」には2種類ある

ここまで読むと「じゃあ記事は絶対に消すなということ?」と思うかもしれませんが、そうではありません。
削除には、やっていい削除とやってはいけない削除があります。
この2つを混同すると事故ります。
やっていい削除=理由が明確な「戦略的な剪定」
消していいのは、削除する理由がはっきりしているものだけです。たとえば、
- 同じキーワードを複数の記事で奪い合っている(カニバリ)
- サービスとまったく無関係で、今後も活かしようがない記事
こうした記事は、整理することに明確な意味があります。
実際、不要なコンテンツを削除してCVRを改善した事例は別記事にまとめています。
これらは「理由が明確だから消した」ケースです。
やってはいけない削除=理由があいまいな「闇雲な削除」
一方で、次の理由だけでは、削除の根拠になりません。
- 「アクセスが低いから」
- 「邪魔なクエリを拾っているから」
今回の事例は、まさにこの後者でした。
「邪魔なクエリを消したい」という、SEOの仕組みから見ると成立しない理由で、数十ページが一気に削除されてしまった、というわけです。
消すなら301リダイレクトを
これは推測ではなく、仕組みの話として言えることです。
ページを404(ただ消すだけ)で削除すると、そのページが集めていた被リンクや内部リンクの資産ごと捨てることになります。
消すなら、関連性の近いページへ301リダイレクトをかけて、評価を引き継がせるべきです。
「検索結果に出したくないだけ」なら、削除せずにnoindexという選択肢もあります。
ただし⋯ここまで読んだ方ならわかると思いますが、noindexにしたところで本命の順位は上がりません。
本命を上げたいなら、本命の記事を強くするしかないからです。
まとめ|「原因が分からなくなる消し方」をしない
今回の話を振り返ると、特別なことは何も言っていません。
- Search Consoleのクエリは成績表であって、設定リストではない
- 無関係なクエリを消しても、本命のキーワードは上がらない
- 消すなら、理由を明確に。そして301リダイレクトで資産を引き継ぐ
- 一度に大きく動かさない
そして、いちばん伝えたいのはこれです。
原因が特定できなくなるような動かし方を、しないでください。
数十ページを一気に消す、いくつもの施策を同時に走らせる。
そういうやり方をすると、結果が良くても悪くても「何が効いたのか」が永遠にわからなくなります。
SEOは、変えたことの影響が数ヶ月遅れで出る世界です。
だからこそ、検証できる範囲で、一つずつ動かす。
地味ですが、これが遠回りに見えて一番の近道です。
Search Consoleを開いて、「このアクセスのない記事、消そうかな」と迷っている方は、消す前にもう一度だけ考えてみてください。
その記事は、本当に「理由が明確」で消すのでしょうか。
それとも「なんとなくアクセスが低いから」「邪魔なクエリを拾っているから」でしょうか。
もし後者で、しかも「何をどう判断していいか自信がない」という状態なら、削除はいったん止めて大丈夫です。
SALUTAMでは、Search ConsoleやGA4のデータをもとに「どの記事を残し、どれを直し、どれを消すか」の判断からお手伝いしています。
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