
記事を半分消してアクセスが半減しても申し込みは1件も減らなかった

「アクセスが半分以下になるのは怖い」
記事を消しましょうと提案したとき、クライアントから返ってきた最初の言葉です。
当然の反応だと思います。一生懸命書いてきた記事ですし、アクセスは目に見えて減ります。
先に結果を書きます。
- 月間セッションは14,000から7,200へ、ほぼ半分になった
- それでも申し込みは1件も減らなかった(120件→216件)
2025年、千葉県内で整体院を運営している会社での話です。
ただ、申し込みが増えた理由については、正直に言うと断言できません。
そこまで含めて書きます。
目次
何が起きていたか

スタッフが定期的にブログを書ける体制が整っていて、コンスタントに記事を更新している会社でした。
その甲斐あって、月間セッション数は14,000まで成長しています。
しかし申し込みは月120件から動かず、申し込み率は約0.9%にとどまっていました。
相談をいただいたときの悩みは、この2つでした。
- アクセスが増えても申し込みが増えない
- 今後もコンテンツを書き続けるべきか迷っている
どんなキーワードでアクセスが来ているかを調べたところ、状況はすぐに見えました。
アクセスを集めていた記事の多くが、「〇〇駅周辺のランチおすすめ5選」「〇〇エリアの人気カフェまとめ」「〇〇周辺の駐車場情報」といった地域情報の記事だったのです。
整体院の近隣情報を発信すれば地域の人が集まる、という発想で書かれたものでした。
確かにアクセスは集まっていました。
でも、「近くのランチおすすめ」を検索している人は、食事の場所を探しているのであって、整体院に予約しようとしているわけではありません。
アクセスの数は増えていた。でも、その中に予約を考えている人がほとんどいなかった、ということです。
一番揉めたのは、消すこと自体ではなかった

やるべきことは明確でした。
目的とずれた記事を非公開にする。
ただ、実行するのは簡単ではありませんでした。
地域情報の記事が、サイトのアクセスの大部分を支えていたからです。
非公開にすれば、月間14,000あったセッション数が大きく落ちることは目に見えていました。
冒頭の「アクセスが半分以下になるのは怖い」は、このときの反応です。
一生懸命書いてきた記事を消すことへの抵抗感もありました。
それでも、数字を見せながら説明しました。
何度か議論を重ねた上で、思い切って非公開にすることになりました。
実際にやったこと

やったことは3ステップです。
- GA4とSearch Consoleで、どのキーワードでアクセスが来ていて、それが申し込みに繋がっているかを調べる
- 「整体院への予約を検討している人が検索するキーワードか」を基準に、目的とずれた記事を特定する
- 該当する記事を、一気にではなく数週間かけて段階的に非公開にする
③を段階的にしたのには理由があります。
一度にまとめて動かすと、あとから数字が動いたときに「何が効いたのか」を追えなくなるからです。
数十ページを一気に消して、何が起きたのか分からなくなった例は『不要に見える記事を消したらサイト全体のアクセスが激減した』に書きました。
作業自体は単純ですが、どのページをどう見極めるかには判断が必要です。
GA4・Search Consoleの具体的な操作手順と、削除を判断する基準は別記事にまとめています。
結果
| 指標 | 施策前 | 施策後 |
|---|---|---|
| 月間セッション数 | 14,000 | 7,200 |
| 月間申し込み件数 | 120件 | 216件 |
| 申し込み率 | 約0.9% | 約3% |
セッション数は約半分になりました。
申し込みは120件から216件へ、約1.8倍になっています。
ここで話を終えれば、きれいな成功事例になります。
ただ、この数字には正直に書いておきたいことがあります。
この数字の見方について、正直に書きます
率が3倍以上に見えるのは、分母を半分にしたぶんもある
申し込み率は約0.9%から約3%になりました。数字だけ見れば3倍以上です。
でも、申し込み率は「申し込み件数 ÷ セッション数」です。
分母であるセッション数を半分にすれば、申し込みが1件も増えなくても率は約2倍になります。
つまり、率が3倍以上に見えるうちの半分ほどは、アクセスを減らしたことによるものです。
私はこの記事を、以前は「申し込み率を3倍以上に改善した話」として書いていました。
間違ってはいません。
でも、率だけを見出しに出すのは、読む人にとって親切な書き方ではなかったと思っています。
確実に言えるのは、実際の件数のほう
率の話を抜きにして、割り算をしなくても言えることがあります。
セッションを半分捨てたのに、申し込みは1件も減らなかった。
これがこの事例で証明されたことです。
言い換えると、こうなります。
「アクセスが半分になるのが怖い」という不安に対する答えは、ここにあります。
怖いのは、そのアクセスが何かを生んでいる場合です。
生んでいないなら、失うものはありません。
96件増えた理由は、断言できません
では、なぜ120件が216件になったのか。
ここははっきり分かっていません。
非公開にした記事は申し込みを生んでいなかったので、消しただけでは件数は増えないはずです。
増えたということは、残した記事の側で何かが起きています。
「不要な記事を消したから、Googleがサイトのテーマを正確に評価するようになった」
以前の私はそう書いていました。
ですが、この案件でそれを証明することはできません。
同じ期間に他の施策をやっていないのは確かですが、時間の経過による自然な増加が混ざっている可能性は消せませんし、当時の詳しいデータはもう手元に残っていません。
検証できないものを「こうだから増えました」と書くのは、事例記事としては不誠実だと考えています。
ですので、この事例からお伝えできるのは「半分捨てても減らなかった」までです。
増えたぶんは、結果としてそうなった、という以上のことは言えません。
今なら、やり方を変えるところ
もうひとつ、自分から書いておきます。
このとき選んだのは「非公開」でした。
WordPressの非公開は、管理画面にログインしていない相手にはページが存在しない扱いになります。
検索エンジンから見れば、削除したのとほぼ同じです。
そのページが持っていた内部リンクや、外部から貼られていたリンクの評価は、そこで途切れます。
今の私なら、関連性の近いページへ301リダイレクトをかけて評価を引き継がせるか、検索結果に出したくないだけならnoindexを選びます。当時はそこまで考えていませんでした。
それでも、申し込みは減りませんでした。
結果が良かったことと、やり方が最善だったことは別の話です。
消し方そのものについては『不要に見える記事を消したらサイト全体のアクセスが激減した』で詳しく書いています。
これから記事を減らそうとしている方は、先にそちらを読んでいただいたほうがいいかもしれません。
消していい記事と、消してはいけない記事

ここまで読んで「じゃあ関係のない記事は消せばいいのか」と思われたかもしれませんが、それは早いです。
この事例で大事なのは、何のために消したかです。
目的は「申し込みに繋がらないアクセスを抱え続けるのをやめること」でした。
逆に、「残した記事の順位を上げたいから、邪魔な記事を消す」という目的で消すと、まず狙いどおりになりません。
関係のない記事が減ったからといって、Googleが本命の記事を上げてくれる保証はどこにもないからです。
この違いについても『不要に見える記事を消したらサイト全体のアクセスが激減した』で書いています。
それから、「サービスと直接関係のない記事はすべて無駄」という話でもありません。
整体院なら「肩こりに効くストレッチ」「腰痛が悪化する寝方」のような記事は、直接予約に繋がらないように見えて、自宅で試したけれど改善しなかった人が整体院を探すという流れになり得ます。
残すものと消すものの線引きは、別記事で詳しく整理しました。
自社のサイトで確認するなら
整体院の話として読むと他業種の方には遠く感じると思うので、業種を外して書き直します。
この会社がやったのは、この3つです。
- このサイトで一番増やしたいものを、1つだけ決める
- それに関係のない人を、記事で集めていないか確認する
- 集めていたら、あとから追える範囲のペースで減らす
買取業でも工務店でも士業でも、やることは変わりません。
もし今日ひとつだけ手を動かすなら、これをやってみてください。
3つとも「たぶんない」なら、アクセスを増やす前に見るべき場所があります。
まとめ
- セッションを半分捨てても、申し込みは1件も減らなかった
- 申し込み率が3倍以上に見えるのは、分母を半分にしたぶんもある。実際の件数で見る
- 増えた96件の理由は断言できない。検証できていないことは書かない
- 消す目的が「残した記事の順位を上げること」なら、狙いどおりにはならない
アクセスが増えているのに申し込みが増えない場合、増やし方より先に、今来ている人が誰なのかを確認したほうが早いことがあります。
「記事を書き続けているのに申し込みが増えない」「でも今あるものを消すのは怖い」という状態は、社内だけで判断するのが一番難しいところだと思います。
SALUTAMでは、GA4とSearch Consoleの数字をもとに「どの記事を残し、どれを直し、どれを減らすか」の判断からお手伝いしています。現状を確認した上で、何をすべきかをお伝えしますので、お気軽にご相談ください。