
Google広告の「コンバージョン◯件」は何を数えた数字ですか|同じサイトの同じ月で、率が3.5倍変わった

「先月のコンバージョンは32件でした」
広告の報告書や、GA4の画面でこの数字を見たとき。
その32件が、何を数えた数字なのか説明できるでしょうか。
フォームからの申し込みだけなのか。
電話番号のタップも入っているのか。
LINEの友だち追加も足されているのか。
ここが曖昧なまま「増えた」「減った」を見ていると、広告が効いているかどうかの判断そのものが狂います。
この記事では、私が運用しているサイトの実際の数字を出しながら、同じサイトの同じ月なのに、数え方を変えるだけで「率」が3.5倍変わるところをお見せします。
そのうえで、この合算がなぜ起きるのか、そしてその数え方が、広告の配信先まで変えてしまうことがあるという話まで書きます。
設定を変える必要はありません。
見方を変えるだけです。
15分で終わります。
目次
同じサイト・同じ月で、率が3.5倍変わる

抽象的な話にしても仕方ないので、先に実データを出します。
私が運用しているガンプラ買取サイトの、2026年6月の数字です。
| 数え方 | 率 | 中身 |
|---|---|---|
| GA4の画面に出ている「セッションのキーイベント率」 | 5.54% | フォーム申込み+LINE+電話の合算 |
| フォームからの申し込みだけで計算した申込み率 | 1.57% | 96件 ÷ 6,122セッション |
同じサイトの、同じ月の、同じ6,122セッションの話です。
それでも、画面のどこを見るかで5.54%にも1.57%にもなります。
どちらかが間違っているわけではありません。どちらも正しい数字です。
ただ、数えているものが違う。
この差が、何を引き起こすか
仮に、この5.54%を「申し込みの率」だと思い込んでいたとします。
すると、こういう判断が起きます。
- 「うちは業界平均より率が高い。フォームは直さなくていい」
- 「率は十分だから、あとはアクセスを増やせばいい」
- 「先月より率が下がった。広告の質が落ちたのでは」(実際は電話のタップが減っただけ)
3つとも、数字を見ているのに間違った結論に着地しています。
そして厄介なのは、合算のほうが、必ず数字が良く見えるということです。
足し算なので当然ですが、良く見える数字を疑う人は、あまりいません。
なぜこうなるのか(設定は間違っていません)

先に誤解を潰しておきます。
フォーム・電話・LINEをそれぞれキーイベントに設定するのは、正しい設定です。
むしろ、電話やLINEを計測していない会社のほうが問題があります。
せっかく来ている反応が、まるごとゼロとして扱われてしまうからです。
問題は設定ではなく、設定したあと、まとめた数字のほうだけを見てしまうことにあります。
GA4の標準のレポートは、設定したキーイベントを合計した状態で率を表示します。
内訳を見るには、こちらから見にいく必要がある。
放っておくと、いつまでも合算のままです。
つまり、これは誰かが悪意を持って盛っている話ではありません。
設定を済ませた時点で、自動的にそうなる仕組みだというだけです。
だからこそ、自分で内訳を開く習慣がないと、ずっと気づけません。
電話のタップは「電話がかかってきた件数」ではない
もうひとつ、合算されると見えなくなる大事な違いがあります。
電話番号のタップとして計測されるのは、あくまで「スマートフォンで電話番号をタップした」という動作です。
タップしたあとに発信をやめた人も、番号を確認しただけの人も、同じ1件として数えられます。
一方、フォームの申し込みは、名前も連絡先も入力し終えた人だけが1件になります。
同じ「1件」でも、確からしさがまったく違う。
これを足し算してひとつの率にすると、確からしさの違いごと潰れてしまいます。
合算した数字は、広告の配信先まで変えていることがある

ここからが、報告書の見え方だけの話では済まない部分です。
Google広告には、予算の使い道を自動で調整する仕組み(自動入札)があります。
「コンバージョンが増えるように配信してください」と指示すると、あとはGoogleが、成果につながりやすい人・時間帯・端末に予算を寄せていく。
便利な機能です。
ただし、ここで前提になっているのが、「何をコンバージョンとして渡しているか」です。
フォーム申込みと電話タップの両方をコンバージョンとして渡していれば、Googleはその両方が増える方向に配信を最適化します。
そして先ほど書いたとおり、電話のタップはフォーム入力より圧倒的に気軽に発生します。
数が出やすいほうに寄っていくのは、自然なことです。
結果として、こういうことが起こり得ます。
報告書の「コンバージョン数」は増えている。でも、実際に商談になる申し込みは増えていない。
広告の運用が下手だったわけではありません。
「何を増やしてほしいか」の指示が曖昧だっただけです。
自分のサイトで確かめる(15分)

難しい分析は要りません。順番に3つ見るだけです。
1. GA4で、キーイベントの内訳を見る
- GA4の「レポート」を開く
- 「エンゲージメント」→「キーイベント」を選ぶ
- イベント名ごとに件数が並んでいるので、そのまま読む
ここで初めて、「32件」の中身が分かれます。
フォームが何件で、電話タップが何件か。
多くの会社で、思っていた比率と違うはずです。
2. 「主役の1件」を決める
内訳が見えたら、その中から売上に一番近いものを1つだけ選びます。
これが、あなたの会社にとっての「1件」です。
どれが主役かは業種で変わります。
| こういう会社なら | 主役にするもの |
|---|---|
| フォームからの申し込みで仕事が始まる | フォーム送信 |
| 電話が鳴らないと何も始まらない(飲食・整体・修理など) | 電話タップ |
| LINEで相談を受けてから見積もりに進む | LINE追加 |
電話タップを主役にするのは、まったく問題ありません。
大事なのは「正しいものを選ぶこと」ではなく、選んで、以後それで見続けることです。
主役を決めていないと、月ごとに都合のいい数字を見てしまいます。
3. Google広告側に何を渡しているか確認する
広告を出しているなら、ここまで見ます。
Google広告の管理画面には、「どの行動をコンバージョンとして扱うか」の設定があります。
ここに複数の行動が入っていて、かつ自動入札を使っているなら、その全部を増やす方向に配信が調整されています。
主役を決めたなら、渡すものも主役に寄せる。
それだけで配信の向き先が変わります。
運用を任せている場合、内訳は聞いていい

ここは、広告運用を請けている側として正直に書いておきます。
私も毎月、クライアントに報告書を出します。
そして、合算のまま「コンバージョン◯件」と書けば、数字は必ず良く見えます。
嘘は一つもついていません。
設定した通りに集計しただけです。
それでも、受け取る側の印象は変わる。
だから、任せている会社に対して「その◯件の内訳を教えてください」と聞くのは、失礼でも何でもありません。
まともな相手なら、すぐ出せます。
集計しているものを分けるだけだからです。
そして、この質問は自分にも跳ね返ってきます。
私自身、報告書に何を「1件」として書いているかは、常に説明できる状態にしておかなければいけない。
この記事は、その自戒でもあります。
ちなみに、もうひとつの数え方の問題
この記事で扱ったのは「何を1件と数えているか」です。
実はもう一つ、「その1件は、どこから来た人か」という問題があります。
サイト全体の申込み件数を広告費で割ると、広告は実際より何倍も効率よく見えます。
先ほどのガンプラ買取サイトも、2026年6月の申込み96件のうち、広告経由は19件です。
広告費3万円を96件で割れば1件312円ですが、正しくは19件で割って1件あたり約1,580円。
5倍違います。
広告を出しているなら、この切り分けは必ずやってください。
合算のまま広告費で割ると、広告は実際よりずっと優秀に見えます。
まとめ:数える対象を決めてから、増やす話をする
- GA4の画面に出る率は、設定したキーイベントの合算。同じ月でも5.54%と1.57%になる
- 合算は必ず数字が良く見える。設定が正しくても、そうなる
- 自動入札に合算のまま渡していると、取りやすい行動が増える方向に配信が寄る
- だから、売上に一番近いものを1つ選んで「主役の1件」を決める
「コンバージョンを増やしましょう」という話は、あちこちで見かけます。
でも、増やす対象が決まっていないまま増やしても、増えたのは数字だけ、ということが起こります。
何を1件と数えるかを決める。順番はここが先です。
設定を変える必要も、新しいツールを入れる必要もありません。今日、GA4を開いて内訳を見るところからで十分です。
「報告書は毎月もらっているが、その数字が何を指しているのか自分では判断がつかない」「内訳を見たものの、どれを主役にすべきか決められない」。
もしそう感じたら、いまの管理画面とサイトの状況を一度見せてください。
何を数えるべきか、そしてその数字をどう報告してもらうべきかまで含めて、7社を運用している立場から一緒に整理します。SALUTAMのお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。