
月5万円のGoogle広告で申込みが取れ続けた貸し倉庫の話|ただし、あなたの商売で同じことが起きるとは限りません

「月5万円でGoogle広告を試してみたい」という相談を受けたことがあります。
2025年に運用していた、貸し倉庫の会社です。
広告を出したことがない。
運用方法もわからない。
他社に見積もりを取ったら費用が高くて動けなかった。
そういう状況からのスタートでした。
結果から言うと、月5万円の広告費で、毎月9件前後の申込みを取り続けました。
1件あたりの獲得コストは、5,500円くらいです。
ただ、この記事で書きたいのは「5万円でもできますよ」ではありません。
この会社が貸し倉庫だったから成立した、という話です。
同じ5万円でも、商売の型が違えば、まったく足りません。
何が揃っていたから回ったのか。順番に書いていきます。
目次
なぜ「5万円でもできます」と「最低20万から」に分かれるのか

「Google広告 予算」で調べると、書いてあることが正反対に割れています。
「月5万円からでも始められます」と書いてある会社もあれば、「最低でも月20万円は必要です」と書いてある会社もある。
どちらが正しいのか、という話ではありません。
どちらも「自分が受けられる範囲」を言っているだけ
少額の案件を取りたい会社は、「5万円からでもできます」と書きます。
大きな案件を扱っている会社は、「20万円からです」と書きます。
どちらも嘘ではありません。
ただ、これは「自社が受注できる金額」の話であって、「あなたの商売に必要な金額」の話ではないんです。
必要な広告費は、頼む相手ではなく、あなたが売っているものによって決まります。
私も広告運用を請け負っている側です
先に立場を書いておきます。
私はGoogle広告の運用を仕事として請け負っています。
少額の案件も受けています。
だから本来なら「5万円あればできますよ」と書いたほうが、商売としては都合がいい。
それでもこの記事で「あなたの商売では5万円は足りないかもしれません」と書くのは、合わない商売で広告を始めると、お金だけ消えて終わるからです。
そうなると、その会社はもう二度と広告を試そうとしません。
それが一番もったいない。
貸し倉庫が月5万円で回った3つの条件

この会社で月5万円が成立したのは、運用がうまかったからではありません。
もともと3つの条件が揃っていました。
① 一度契約したら、毎月お金が入り続ける
貸し倉庫は、借りてもらったら解約されるまで毎月賃料が入ります。
これが一番大きい。
1件の申込みを取るのに5,500円かかっても、その1件が何ヶ月も続くなら、5,500円と比べるのは1ヶ月分の賃料ではなく、契約が続いた期間の合計になります。
逆に、1回売って終わりの商売だと、この計算が使えません。
1回の売上より広告費のほうが大きければ、その時点で赤字です。
しかも1件あたりにかかる金額は、商売によって数千円にも数万円にもなります。この案件で5,500円に収まったのは、あとの2つの条件も揃っていたからです。
② 広告を届ける相手が、もともと狭い
貸し倉庫を探している人は、「その地域で」「その条件で」探しています。
遠くの倉庫を借りる人はいません。
つまり、最初から広告を出す範囲が限られているということです。
広く出す必要がないので、月5万円でもその範囲の中では十分な回数、広告を出せました。
これが「日本中の誰でもお客さんになりうる商品」だと、話が変わります。
相手が広い商売に月5万円を投げると、広い海に薄く撒くだけになって、誰の記憶にも残らずに予算が終わります。
③ 検索する人の気持ちが、すでに固まっている
「貸し倉庫」と検索する人は、置き場所に困っている人です。
借りるかどうかを迷っているのではなく、どこで借りるかを決める段階にいます。
だから広告を見て、条件が合えばそのまま申し込みます。
反対に、「まだ必要かどうかも決めていない人」しか検索してこない商品だと、広告を見せても申込みには進みません。
何度も見てもらって、会社の名前と中身を覚えてもらうところから始める必要があります。
それには時間もお金もかかるので、月5万円で挑む相手ではありません。
あなたの商売は、いくつ当てはまりますか

3つの条件を、自社に当てはめてみてください。
- 条件1:一度契約したら、毎月お金が入り続けるか
1回売って終わりの商売なら、1件のお客さんから最終的にいくら受け取るのかを先に計算してください。その金額が小さいほど、広告では成り立ちにくくなります - 条件2:広告を届ける相手が、狭く絞れているか
誰でもお客さんになりうる商品なら、月5万円では届く人数が足りません。地域や条件で絞れないかを先に考えます - 条件3:検索する人の気持ちが、すでに固まっているか
まだ迷っている人しか検索してこないなら、広告より先にやることがあります。急いで広告に出すと、一番お金が溶けるパターンです
3つとも当てはまる方は、月5万円で試す価値があります。この貸し倉庫と同じ形です
そのうえで、ひとつだけ答えを出してみてください。
「申込みが1件入ったら、その人から最終的にいくら受け取りますか」
1回分の売上ではなく、その人との取引が終わるまでの合計です。
この金額が出ていない状態で広告を始めると、うまくいっているのかどうかが最後まで判断できません。
逆にこの数字さえ出ていれば、「1件に何円まで使えるか」が決まり、広告を続けるか止めるかを自分で判断できるようになります。
3つのうち当てはまらないものがあった方は、予算を決める前に、そもそも広告が合う商売かどうかを確かめてください。
合わない形のまま始めると、運用をどれだけ工夫しても結果は変わりません。
その見分け方は別の記事にまとめています。
予算が少ないほど必要になる「捨てる判断」

条件が揃っていても、放っておいて回ったわけではありません。
この案件で一番効いたのは、やめる判断でした。
申込みが取れているキーワードでも、止める
低予算の運用で見落としがちなのが、ここです。
申込みが1件取れたキーワードでも、そこに大きく予算を使っていた場合は止めました。
たとえば、1件の申込みを取るのに3万円使っているキーワードがあったとします。
月5万円しかないのに、そのうち3万円が1件に消えている。これでは残りで戦えません。
見るのは「申込みが取れたかどうか」ではなく、1件あたりにいくらかかったかです。
予算が少ないほど、この判断を厳しくする必要があります。
最初から正解のキーワードはわからない
毎週、キーワードごとに表示された回数・クリックされた回数・申込み数を確認して、効かないものを止め、効くものに寄せていきました。
広告を出したときに、どのキーワードが当たるかは事前にはわかりません。
出してみて、削って、寄せる。この繰り返しでしか精度は上がっていきません。
逆に言えば、出しっぱなしにするなら、月5万円は捨て金になります。
予算が少ないときに、最初からキーワードをどこまで絞っておくかは、別の記事で書いています。
この案件が、どう終わったか

最後まで書いておきます。
この案件は、現在は運用していません。
クライアントが別の事業に力を入れることになり、貸し倉庫の事業そのものを縮小したためです。
広告の成果が落ちたから終わったわけではありません。
申込みが取れている状態のまま、会社の判断で終わりました。
事例の記事は、たいてい一番良かったところで話が終わります。
でも実際の仕事では、うまくいっていても終わることがあります。
広告は、始めたら永久に続けるものではありません。
売るものが変われば要らなくなるし、そのときは止めればいい。
「一度始めたら抜けられない」と思って踏み出せない会社がありますが、止めたい月に止められます。
まとめ:金額ではなく、商売の型で決まる
月5万円のGoogle広告で、毎月9件前後の申込みを取り続けた会社があります。1件あたり5,500円くらいでした。
ただしそれは、貸し倉庫という商売だったからです。
- 一度契約したら毎月お金が入り続ける
- 広告を届ける相手が、もともと狭い
- 検索する人の気持ちが、すでに固まっている
この3つが揃っていたから、少ない予算で成立しました。
「広告費が少ないと意味がない」は間違いです。
でも「5万円あれば誰でもできる」も、同じくらい間違っています。
決めるのは金額ではなく、あなたが何を売っていて、1件のお客さんからいくら受け取るのかです。
「少ない予算でGoogle広告を試してみたい」というご相談をいただいたとき、私がまず聞くのは予算の額ではありません。
何を売っていて、1件のお客さんからいくら受け取るのか。ここを聞きます。
そのうえで、合わないと思ったら「今は広告ではないと思います」とお伝えします。
自社がどちらなのか判断がつかない、という段階でも構いません。お気軽にご相談ください。