
情報を最新にしたら問い合わせが5倍になった。でも増えたのは率ではなく訪問数だった

ホームページへのアクセスはあるのに、情報が古くてクレームが来ている⋯。
そんな相談でした。
地域では知名度のある小売店でしたが、通常業務が忙しくWeb業務に手が回らない状態が続いていました。
数年前のセール情報がそのまま残っていたり、イベントの告知が更新されていなかったり。
お客様が確認して来店したら情報が違った、ということが頻繁に起きていました。
そこから半年で、月の問い合わせは80件から403件になりました。
約5倍です。
ただ、この「5倍」を割ってみると、少し違うものが見えます。
問い合わせ率は0.53%から0.56%。ほとんど動いていません。
増えたのは率ではなく、訪問数のほうでした。
この記事では、その5倍の中身を全部割って公開します。
目次
依頼時点の状況(2023年3月)

地域での知名度はあり、ホームページへのアクセスも一定数ありました。
ただ、通常業務が忙しくWeb業務に手が回らない状態が長く続いていました。
具体的に起きていた問題は3つです。
- 数年前のセール情報やイベント情報がそのまま残っていて、お客様が見て来店したら情報が違うというクレームが頻繁に発生していた
- ブログは書いているが数行で終わっていてほとんど読まれていない
- イベントやセールの告知が複数箇所に散らばっていて、お客様が見つけにくい状態になっていた
アクセスはあるのに、情報の古さと見づらさが原因でお客様への価値提供ができていない。
もったいない状態でした。
やったこと(2023年4月〜10月)

半年のあいだにやったことは4つです。
1. 更新をすべて弊社で当日対応する
Web業務に手が回らないなら、外部がやる。
それだけです。
メールで情報を送ってもらい、当日または翌日にはホームページに反映させる体制にしました。
クライアントの負担はメールを送るだけ。
これで最新情報を常にお客様に届けられるようになりました。
2. 古い情報をすべて最新に修正する
数年分の古いセール情報・イベント情報・日付を一つひとつ確認して修正しました。
地味な作業ですが、古い情報が残っているだけでお客様の信頼を下げます。
不要な情報を削除することで、ページ全体が見やすくなりました。
3. サイトの構成と導線を見直す
告知が複数箇所に散らばっていたため、ホームページを開いた瞬間に見えるバナーに集約しました。
お客様が「今どんなイベント・セールをやっているか」を一目で把握できる状態にするためです。
あわせて、ページの階層関係も組み直しました。
どのページが何についての情報なのかがGoogleに正しく伝わるようにするためです。この作業は、別のサイトでアクセスが3倍になったときとやっていることが同じです。
4. ブログをテンプレート化して書き続ける
スタッフが書くブログの目的はSEOではなく、お客様への情報提供です。
そのため「わかりやすく伝えること」だけに集中したテンプレートを作りました。
まず中心スタッフ数名に書き方を教え、そこから他のスタッフへ展開していきました。
今ではどのスタッフでも一定の質のブログを書けるようになっています。
結果

| 指標 | 2023年3月 | 2023年10月 |
|---|---|---|
| 月間PV | 約15,000 | 約72,000(約4.8倍) |
| 月間問い合わせ件数 | 約80件 | 約403件(約5倍) |
| 問い合わせ率 | 約0.53% | 約0.56% |
問い合わせ件数はフォームから届いた件数です。
電話やメールは含んでいません。
問い合わせ率は、問い合わせ件数をPVで割った数字です。
「5倍」の中身を割ってみる

ここが、この記事で一番お伝えしたいところです。
問い合わせは5倍になりました。
ただし、PVも4.8倍になっています。
そして問い合わせ率は0.53%から0.56%。ほとんど動いていません。
つまり、100人が来たときに問い合わせをしてくれる人の割合は、施策の前後でほぼ同じだったということです。
増えたのは、来た人の数のほうでした。
正直なところ、この記事は「問い合わせが5倍になりました」とだけ書くこともできます。
事例を出す側が率を書かなければ、5倍はそのまま通ります。
でも、それを読んだ方が自社で同じことをやったとき、「うちは5倍にならなかった」となる可能性があります。
数字の中身が違うからです。
なので割って出します。
どの施策がPVを増やしたのかは、特定できません
先に正直に書いておきます。
4つの施策を同じ半年のあいだに並行して進めたため、どれがPVを4.8倍にしたのかは切り分けられません。
情報を最新にしたことなのか、構成を組み直したことなのか、ブログを書き続けたことなのか。
全部かもしれません。
当時、施策を1つずつ順番に入れて効果を測る、という進め方はしていませんでした。
クレームが起きている状況で、そんな悠長なことはできなかったからです。
なので「情報を最新にしたからPVが増えた」とは書けません。
言い切れるのは、問い合わせ率は動かず、訪問数のほうが増えた、というところまでです。
「情報を最新にする」は、率ではなく訪問数に効くことがある

ここで、少し意外なことに気づきます。
「古い情報を最新にする」と聞くと、ふつうは来てくれた人をがっかりさせないための作業だと思います。
つまり、来た人のうち問い合わせしてくれる人の割合を上げる施策に見えます。
でも今回、その割合は動いていません。
動いたのは訪問数のほうでした。
これは、別のサイトでも似た形のことが起きています。
毎週価格表を更新し続けたサイトで、検索からの流入が95から3,812まで増えました。
増えたのは検索から来る人の数です。
更新を続けているサイトは、Googleが見に来る頻度が上がります。
新しい情報が検索結果に反映されるのも早くなります。
今回のケースで同じことが起きていたかどうかは、繰り返しになりますが証明できません。
4つ同時にやっているからです。
ただ、「情報を最新にする」を、来た人向けの作業だとだけ思っていると、見る数字を間違えます。
問い合わせ率だけを見て「変わっていない」と判断すると、実際には増えている訪問数を見落とすことになります。
では、情報整理の成果はどこに出たのか

数字に出ていない成果が、ひとつあります。
クレームが止まったことです。
ホームページを見て来店したのに情報が違った、という状態がなくなりました。
これはPVにも問い合わせ件数にも表れません。
表れないどころか、この会社は運が良かったほうです。
古い情報のせいで離れていったお客様は、ふつう何も言わずに去ります。
「見に行ったけど情報が古かったのでやめました」と伝えてくれる人はいません。
会社側には何のデータも残りません。
この小売店の場合は、来店してから気づく形だったのでクレームという声になりました。
声になったから、問題として認識できた。
声にならないまま失っているケースのほうが、実際には多いはずです。
自社で確認するときは、率と訪問数に分ける

ここからは、自社に当てはめる話です。
問い合わせが増えた、あるいは減った。
そのとき原因を考える前に、まず2つに分けてください。
- ホームページに来た人の数は変わったか
- 来た人のうち問い合わせした人の割合は変わったか
どちらが動いたかで、次にやることが変わります。
来た人の数が増えていないのに問い合わせだけ増えたなら、ホームページの中身が効いています。
来た人の数が増えているなら、外から連れてくる部分が効いています。
この2つを分けずに「問い合わせが5倍」とだけ見ていると、次に何を続ければいいのかが分かりません。
そして、割合を見るときにもうひとつ注意があります。
割合は、来た人の数が減っても上がります。
分母が半分になれば、同じ件数でも割合は約2倍になるからです。
最後にひとつ、質問です。
先月、問い合わせが増えた(あるいは減った)とき、動いたのは来た人の数ですか。
それとも問い合わせした人の割合ですか。
すぐに答えられない場合は、そこから確認してみてください。
まとめ
この事例で起きたことを整理します。
- 半年で問い合わせは80件から403件(約5倍)になった
- ただし問い合わせ率は0.53%から0.56%でほぼ動いていない。増えたのは訪問数
- 4つの施策を並行したため、何がPVを増やしたのかは特定できない
- 数字に出ない成果として、クレームが止まった
もうひとつ、この案件で効いたと感じているのは、クライアントの負担をできるだけ減らしたことです。
「メールを送るだけ」という体制にしたことで、通常業務が忙しい中でもWeb業務が止まらない状態を作れました。
Webを活かせていない会社の多くは、知識がないのではなく時間がないのだと思っています。
やる気はある、でも手が回らない。
そういう会社ほど、少し仕組みを整えるだけで大きく変わります。
「ホームページを放置している」「更新したいけど時間がない」、あるいは「数字が動いた理由がよく分からない」という方は、一度SALUTAMにご相談ください。
今の数字の何が動いているのかを一緒に確認した上で、業務の負担を最小限に抑えながらホームページを動かし続ける体制を作ります。