
記事を1本書き直したら表示回数が4.5倍になった|でも増えた分の3分の1は、買う気のない人だった

クライアントのサイトで、記事を1本書き直しました。
結果は、数字だけ見ればうまくいっています。
検索結果に出る回数が4.5倍、クリックが3.5倍。
狙っていたキーワードの順位も、13位から3.9位まで上がりました。
報告書に書くなら、これで十分な内容です。
それでも私は、この書き直しが成功したとは書けませんでした。
増えた表示回数を検索されたキーワードごとに数えたら、そのうち3分の1が「絶対に買わない人」だったからです。
この記事では、その中身を全部お見せします。
クライアントのサイトなので商品名は伏せますが、数字は一切いじっていません。
目次
結論:数字は全部よくなった。それでも判断はできなかった

やったことは2つです。
記事のタイトルを変え、その8日後に本文をほぼ全部書き直しました。
見出しは8本から10本に増やしています。
その前後を、20日ずつの窓で並べたのがこの表です。
| 20日ごと | ①何もしていない | ②タイトルだけ変えた | ③本文も書き直した |
|---|---|---|---|
| クリック | 30 | 21 | 74 |
| 検索結果に出た回数 | 410 | 479 | 2,136 |
| クリック率 | 7.32% | 4.38% | 3.46% |
| 平均順位 | 7.3位 | 6.72位 | 7.05位 |
ここで先に、①と②を見比べてください。
何も手を加えていない期間から次の期間へ、クリックが30件から21件へ減っています。3割です。
サイトは何も変わっていません。
それでも隣り合った20日どうしで、これくらいは平気で動きます。
これが分かっていないと、③の74件を見ても意味が読めません。
「3.5倍になった」と言えるのは、素の揺れ幅が3割だと先に分かっているからです。
逆に言えば、3割以内の変化は、何をやっても「効いた」とは書けません。
比べる期間を2つしか取らないと、ここが分離できないままになります。
狙っていたキーワードの順位も上がりました。
| 検索されたキーワード | ① | ② | ③ |
|---|---|---|---|
| 商品名+処分 | 13位 | 8.68位 | 3.93位 |
| 商品名+断捨離 | 1.62位 | 1.62位 | 1.63位 |
2ページ目にいたキーワードが、1ページ目の上のほうまで来ています。
ここまでは狙いどおりです。
問題は、増えた2,136回の中身でした。
増えた表示の3分の1は、買う気のない人だった

先に断っておくと、Search Consoleでは検索されたキーワードが全部わかるわけではありません。
件数が少ないキーワードは伏せられます。
この20日間で、キーワードまでわかったのは738回分でした。
以下はその中の話です。
そのうち249回が、たった1つのかたまりから来ていました。
表記のゆれを含めて7つのキーワード、どれも「商品を組み立てたあとに出る余りの部品を、どう捨てるか」を調べている人たちです。
| 検索されたキーワード | 出た回数 | クリック | 順位 |
|---|---|---|---|
| 部品名+捨て方(表記ゆれ7語の合計) | 249 | 0 | 10.6位前後 |
書き直す前は、このキーワードでの表示はゼロでした。
20日で249回まで増えて、クリックは1件も入っていません。
順位が10.6位。
1ページ目のいちばん下か、2ページ目の先頭です。
ほとんど見られない位置に、大量に並んでいる状態でした。
原因ははっきりしています。
本文を書き直したとき、「正しい捨て方」の章に、部品の回収について1段落だけ足しました。
それだけです。
この結果は、私が自分の記事で勧めたとおりのものです
ここは正直に書いておきます。
私はSearch Consoleの使い方をまとめた記事で、「想定していなかったキーワードで表示回数が多いなら、そのキーワードに合わせた内容を足すと順位が上がる」と書いています。
実際に、それで50位圏外から10位以内に入ったページの話も載せています。
今回やったのは、まさにそれです。
そしてそのとおりになりました。
手順としては間違っていません。
ただ、その手順は「拾った先が客かどうか」までは面倒を見てくれませんでした。
余りの部品を捨てたい人は、商品を手放したい人ではありません。
捨て方さえ分かれば帰ります。
問い合わせや申し込みには、まず進みません。
足りないキーワードを拾いにいくやり方そのものは有効です。
その手順は別の記事にまとめています。
この記事は、その次に起きることの話です。
表示が増える場所と、クリックが来る場所は別だった

キーワードがわかった738回を、意味で2つに分けてみます。
ひとつは「捨てたい人」のキーワード。
処分、捨て方、ゴミ、分別など。
もうひとつは「手放したい人」のキーワード。
断捨離、売る、いらない、など、売却が視野に入っているキーワードです。
| 出た回数 | クリック | クリック率 | |
|---|---|---|---|
| 捨てたい人のキーワード | 635 | 14 | 2.2% |
| 手放したい人のキーワード | 81 | 11 | 13.6% |
検索結果に出た回数は8倍近く違います。
それなのに、クリックはほぼ互角です。
いちばん極端なのが「商品名+断捨離」というキーワードでした。
20日で19回表示されて、9件クリックされています。
ただしこれは19回のうちの9件なので、率として持ち出すには母数が小さすぎます。
数えられるのは「1位あたりに立っていて、出れば半分近く押されている」というところまでです。
ここで見ておきたいのは、このキーワードの順位が1.62位から1.63位で、まったく動いていないことです。
書き直しても、上げようがない場所にすでにいた。
にもかかわらずクリックは増えている。
増えたのは順位ではなく、このキーワードで検索する人の数のほうでした。
つまり記事の重心は、表示回数のうえでは「捨てたい人」に大きく傾いた。
でもクリックのうえでは、ほとんど傾いていません。
山がどこに立ったかと、人がどこから入ってきたかは、別々に見ないと分かりませんでした。
報告に載る数字は、3つとも悪化していた

もう一度、最初の表を見てください。
クリック率は7.32%から3.46%へ。
平均順位も7.3位から7.05位で、ほとんど変わっていません。
拾うキーワードの数だけが16個から75個に増えています。
クリック率と平均順位だけ抜き出して報告したら、「書き直して悪くなった」と読めます。
でも同じ期間に、クリックは30件から74件になっています。
理由は単純で、ほとんど押されないキーワードが249回ぶん増えたので、全体の平均が薄まっただけです。
稼いでいるキーワードは1.63位のまま何も起きていません。
これは、このサイトだけの話ではありません。
私が運営しているこのサイトでも、まったく同じことが起きています。
いちばんアクセスを集めている記事の、直近3ヶ月の数字です。
| 検索されたキーワード | 出た回数 | クリック | 順位 |
|---|---|---|---|
| ホームページ アクセス数 目安(狙っていたキーワード) | 57 | 6 | 4.63位 |
| アクセス数 | 415 | 1 | 19.47位 |
| seo アクセス数 | 183 | 0 | 38.03位 |
| pv 数 目安 | 176 | 0 | 68.97位 |
この記事のページ全体の平均順位は18.72位です。
ひどい数字に見えます。
でも18.72位という数字は、下の3つが作っています。
狙っていたキーワードは4.63位です。
だから、ページ全体のクリック率が下がったことは、直せという合図にはなりません。
合図になるのは、キーワード1つずつで見たときのズレのほうです。
3位にいるのにクリック率が5%なら低い、10位で8%なら悪くない。
この見方は別の記事でまとめています。
あなたのサイトで、いま確認できること

特別な道具は要りません。
Search Consoleを開いて、10分で終わります。
- 「検索パフォーマンス」を開いて、期間を過去3ヶ月にする
- 「クエリ」タブを開いて、表示回数の多い順に並べる
- 上から10個を、紙でもメモでもいいので2つに分ける
分ける基準は1つだけです。
このキーワードで検索した人は、うちにお金を払う可能性があるか。ないか。
たとえば工務店なら、「リフォーム 費用」を調べている人は払う側です。
「壁紙 自分で 貼る」を調べている人は、まず払いません。
どちらも同じ記事が拾っていることがあります。
分け終わったら、表示回数の合計をそれぞれ足してみてください。
払わない側に大きく偏っていたら、そのページは検索には強くても、商売の役には立っていない可能性があります。
そのときにやることは、記事を消すことでも、順位を上げにいくことでもありません。
払わない側のキーワードを、別のページに引っ越させることです。
今回のケースでも、部品の捨て方だけを扱う記事を切り出す予定です。
もとの記事から捨て方の需要を逃がして、重心を戻せるかを試します。
この記事で、まだ言えないこと

4つあります。
1.タイトル変更と本文の書き直しは、分けて測れていません
間が8日しかなく、観測できる期間が実質ありませんでした。
この記事の数字はすべて、2つの合計です。
2.「手放したい人」が増えたのかどうかは、判定できていません
クリックは8件、5件、11件と動いていますが、これは先に書いた3割の揺れ幅の中です。
増えたとも減ったとも書けません。
私も最初、前後2つの窓だけを見て「5件から11件で倍増した」と読みました。
何もしていない期間をもう1つ足したら、その読み方が消えました。
3.申し込みが増えたかどうかは、まだ測っていません
記事の中のボタンがどれだけ押されたかは、書き直した日から計測を始めたばかりです。
判定できるのは秋以降になります。
4.季節の影響を確認していません
隣り合った20日どうしなので大きくはないはずですが、調べていない以上そう書くしかありません。
この記事で言えるのは、「検索結果に出る回数は4.5倍になり、その3分の1は買わない人だった」というところまでです。
まとめ:増えたのは事実。増えた中身は、別に数える
- アクセスが増えたかどうかは、何もしていない期間をもう1つ並べて初めて判断できる(この記事では3割の揺れがあった)
- 検索されたキーワードごとに数える。増えた表示が、払う人のキーワードなのか、払わない人のキーワードなのか
- ページ全体のクリック率と平均順位は、直す合図にならない。押されないキーワードが増えれば、成功していても数字は悪化する
- 払わない人のキーワードが大きいなら、消すのではなく別のページへ引っ越させる
「アクセスが増えたのに問い合わせが増えない」という相談を、よく受けます。
原因がフォームや導線にあることも多いのですが、今回のようにそもそも増えたアクセスが最初から買う気のない人だったというケースも、実際にあります。
この場合、フォームをいくら直しても何も変わりません。
数えている場所が違うからです。
Search Consoleを開いて、キーワードの一覧を表示回数の多い順に並べる。
上から10個を2つに分けてみてください。
それだけで、いま自分のサイトに来ているのが誰なのかが見えます。
分けてみたけれど判断がつかない、あるいは分けた結果をどう直せばいいか決められない。
そういうときは、一度ご相談ください。
実際のデータを一緒に見ながら、どのキーワードを残して、どのキーワードをどこへ逃がすかを整理します。