
中小企業にホームページは必要か|「持っているか」ではなく「動いているか」で差がつく理由

ホームページを持っていない中小企業は、今どれくらいあるのか。
アイ・モバイル株式会社が2025年7月に中小企業の経営者3,000名へ行った「中小企業におけるホームページ活用実態調査」では、導入していると答えた会社は48.2%でした。
従業員数で分けると、51人以上の会社は9割近くが導入しているのに対し、6〜10人の会社は5割台、5人以下では3割台まで下がります。
よく見かける「企業のホームページ開設率9割」は総務省の通信利用動向調査の数字ですが、あちらは従業員100人以上が対象です。
社員が数人の会社の実態は、そこには映っていません。
ただ、この記事で伝えたいのは「だから早く作りましょう」という話ではありません。
私はホームページの制作も請けています。
その立場で言うのも変ですが、作ること自体にはほとんど価値がないと思っています。
これまで関わってきた中で、申し込みや問い合わせが大きく動いた会社は、どれも公開したあとに手を入れ続けたところでした。
逆に、作ったまま放置されて信頼性を下げているサイトも山ほどあります。
ホームページは「持っているか」では差がつきません。
「動いているか」で差がつきます。
この記事では、ホームページが必要な理由を3つに絞ったうえで、公開したあとに何が起きるのか、そしてすでに持っている会社が最初に確認すべき場所までをまとめました。
目次
ホームページが必要な理由は、突き詰めると3つしかない

制作会社の提案書には、ホームページを持つべき理由が7つも8つも並びます。
私も昔はそういう資料を作っていました。
数が多いほど説得力が出る気がしたからです。
ですが実際にサイトを運用してみると、理由が多い会社ほど、何のために作ったのかを誰も答えられなくなります。
中小企業がホームページを必要とする理由は、突き詰めると3つです。
1. 会社を調べた人に、実在を確認してもらうため
会社名を聞いたら、たいていの人はその場で検索します。
そこで何も出てこなければ「本当にある会社なのか」と思われて終わりです。
私自身、サービスを探していて何も出てこない会社には問い合わせをためらいます。
ホームページは会社の「名刺」ではなく「玄関」です。
名刺は渡した相手にしか届きませんが、玄関は探して来た人が最初に立つ場所です。
2. 営業時間の外でも受け付けるため
夜でも休日でも、問い合わせを受け取れます。
よくある質問をまとめておけば、同じ内容の電話に毎回対応する必要もなくなります。
人を増やさずに窓口を増やせる手段としては、ホームページがいちばん安く済みます。
3. 商圏の外にいる人に届くため
地元だけで商売していた会社が、ホームページから全国の仕事を受けられるようになることがあります。
ただし、これは3つの中でいちばん時間がかかります。
作った翌月に起きる話ではありません。
3つのうち、自社に当てはまるものを1つ選ぶ
3つ全部を狙おうとすると、サイトが何のためのものか分からなくなります。
実在を確認してもらいたいのか、問い合わせを受けたいのか、遠くの人に届けたいのか。
ここを1つに決められている会社と、決められていない会社では、公開したあとの伸び方がまったく違います。
公開した時点では、まだ何も起きていない
ここからが本題です。
ホームページを作ると、その日から会社が変わるような気がします。
実際にはそうなりません。
公開直後のサイトは、ほとんど誰にも見られていない
私が運用しているガンプラ買取サイトの数字を出します。
公開直後の2024年6月、サイト全体には月3,065のセッションがありました。数字だけ見れば順調です。
ただ、そのうち検索から来た人は95でした。
残りはほぼ広告です。
つまり、お金を出している間だけ人が来ていて、サイト自体はまだ何も集めていませんでした。
これが「作った時点」の実態です。
その後、買取表のページを毎週更新し続けた結果、2026年2月には検索からの流入が3,812まで増えました。
広告を止めた月も、サイトは動き続けています。
※この期間はページ数も増えているため、伸びのすべてが更新によるものだとは言い切れません。数字の詳細と、更新の中身は以下にまとめています。
すでに持っていても、動いていなければ同じ
逆のパターンもあります。
ある小売店では、ホームページはずっと前からありました。
それでも問い合わせは月80件前後で止まっていました。
古い情報を直し、更新を当日反映できる体制に変え、サイトの構成を見直したところ、半年で問い合わせが約403件になりました。
ただし、ここは正確に書きます。
問い合わせ率はほとんど変わっていません。
増えたのは訪れた人の数です。
「サイトが良くなったから申し込みたくなった」のではなく、「見つけてもらえる状態になった」というだけの話です。
持っていなかった会社が作って、動かして伸びた。
持っていた会社が動かし始めて伸びた。
どちらも変わったのは「動かしたかどうか」で、「持っているかどうか」ではありませんでした。
公開したあとに、発生し続けるもの

動かし続けるということは、費用と手間が発生し続けるということです。
作る前に、ここまで見ておいた方がいいです。
維持費がかかる
サーバー代・ドメイン代で年間1〜2万円程度。
これに加えて、保守を外部に任せる場合の費用がかかります。
私が請けている保守は月8,000〜10,000円で、中身はWordPressの更新、更新後のエラーチェック、サーバー管理、依頼があったときの軽微な修正の4つです。
ここに記事制作や広告運用、改善提案は含まれません。
金額に幅があるのは、業者によって「保守」と呼んでいる範囲が違うからです。
月3万円でも5万円でも、それが高いか安いかは中身を見ないと判断できません。
いずれにしても、これは「ホームページを育てるコスト」です。
放置するなら確かに無駄ですが、動かし続けるなら申し込みという形で回収できます。
放置すると逆効果になる
新着情報が2年前のまま、ブログが1本だけ…。
そういうサイトは、無いよりも信頼性を下げます。
作ることより、作った後に続けることの方が難しいです。
運用体制を決めてから公開するのが理想です。
社内に担当する人が必要になる
更新・修正・数字の確認・制作会社とのやり取り。
これらをまとめて担える人が社内にいないと、ホームページは止まります。
新しく採用すると月給30万円以上になることも多く、中小企業には重い負担です。
全部を自社で抱える必要はありません。
手放していい仕事と、手放すと止まる仕事があります。
すでに持っている会社が、最初に見る場所
ここまで読んで「うちはもうあるんだけど、動いている気がしない」と思った方へ。
ホームページを持っている会社には、持っていない会社には無いものがあります。
データです。
どんな言葉で検索されて来たのか、どのページが読まれているのか、どこで帰られているのか。
これは持っている会社だけが見られます。
そして、動いていないサイトの原因は、たいていこのデータの中に出ています。
ただしGA4は指標が多すぎて、開いても何を見ればいいのか分かりません。
見る場所はあらかじめ決めておいた方がいいです。
アクセスはあるのにすぐ帰られているページ、申し込みに近いのに誰も来ていないページ、人は来ているのに一件も申し込まれていないページ。
この順で確認すると、直す場所が決まります。
具体的なGA4の操作手順は以下にまとめました。
見た目が古いから作り直す、という判断はいったん置いてください。
トップページから問い合わせに至る人は、思っているより少ないです。
これから作る場合、どこに頼むか

仕事で使うホームページなら、制作会社かフリーランスに頼むのが現実的です。
制作会社は費用が高めですが、ヒアリングと公開後のサポートが整っているところが多い。
フリーランスは費用を抑えやすい一方、スキルの幅が大きいので過去の実績を必ず確認してください。
無料ツールでの自作もできますが、そうやって作られたサイトが検索上位にいるのをほとんど見かけません。
とりあえず存在させたいだけなら足りますが、申し込みを取りたいなら遠回りになります。
頼み先を選ぶときに一番効くのは、「公開後に何をしてくれるか」を契約前に確認することです。
この記事でずっと書いてきたとおり、成果が変わるのは公開したあとです。
作って終わりの会社に頼むと、その先が全部止まります。
実績の見方、見積もりの内訳、避けたほうがいい会社のパターンまで、確認すべきことは以下にまとめています。
まとめ
社員10人以下の会社では、ホームページを持っているところがまだ半分程度です。
ただ、持っている側が全員うまくいっているわけではありません。
公開した直後のサイトは、検索からはほとんど見られていません。
作った時点で手に入るのは、動かすための土台だけです。
逆に、何年も前からあるサイトでも、情報を直して更新を続ければ動き出します。
だから、まず決めるべきなのは「作るかどうか」ではありません。
このサイトで一番増やしたいものを1つ選べるか、そして公開したあとに誰が手を入れ続けるか。この2つです。
1つに絞れていなかった会社が、絞っただけで申込みを月32件から469件まで伸ばした事例もあります。
「作ったけれど、そのまま止まっている」「動かした方がいいのは分かっているが、何から手をつければいいか分からない」。
そういった状況であれば、一度SALUTAMにご相談ください。
現状のサイトを確認した上で、動かすなら最初にどこからかをお伝えします。