
SEOとMEOと広告、中小企業はどれからやるべきか|7社運用してわかった「順番は業種で決まる」

「SEOとMEOって、何が違うんですか」
「うちはどっちをやればいいんでしょうか」
クライアントから、本当によく聞かれる質問です。
調べてみると、たいていこう書いてあります。
「SEOとMEOはセットで実施するのがおすすめです」
⋯そうなんですが、その答えでは動けないと思います。
予算も人手も限られているから「どっちですか」と聞いているのに、「両方やりましょう、そして外注しましょう」と返ってくる。
これでは何も決められません。
先に結論を言います。
中小企業は、SEOもMEOも広告も、全部やらなくていいです。
順番があります。
そして順番は、業種で決まります。
私は中小企業7社のWeb運用を請け負っていて、SEO・Google広告・MEO(Googleビジネスプロフィール)を全部やっています。
だから「どれか1つを売る立場」ではなく、「どれが効いてどれが無駄だったか」を横並びで見てきました。
その立場から、業種別の順番を正直にお話しします。
目次
まず、SEO・MEO・広告の違いを1分で

判断するのに必要なので、違いだけ先に整理します。
ここは押さえておいてください。
スクロールできます
| SEO | MEO | Google広告 | |
|---|---|---|---|
| 何を最適化するか | 自社のホームページ | Googleビジネスプロフィール(Googleマップの店舗情報) | 検索結果に出す広告 |
| どこに出るか | 検索結果の一覧 | Googleマップ・検索結果の地図枠 | 検索結果の上部(「スポンサー」表示) |
| 誰に届くか | 全国・情報を探している人 | 近くにいる人・今すぐ行きたい人 | 検索している人全般(出したい相手を選べる) |
| 競合になるのは | 全国の同業他社+大手メディア | 同じ地域の同業他社だけ | 同じキーワードに出稿している会社 |
| お金 | 自分でやれば無料(時間はかかる) | 無料 | 出した分だけかかる |
| 効果が出るまで | 4ヶ月〜1年 | 数週間〜数ヶ月 | 数日 |
ざっくり言うと、SEOは「遠くの人に、時間をかけて」、MEOは「近くの人に、早く」、広告は「今すぐ、お金で」です。
3つ目の「広告」を落とさないでください
ここで一つ注意があります。
「SEOとMEOの違い」を調べると、出てくる記事はほぼすべてSEO対MEOの2つしか比較していません。
でも、中小企業が実際に選べる手段は3つあります。SEO・MEO・広告です。
なぜ2つの比較ばかりなのかというと、こうした記事を書いているのがMEOのツール会社やSEOの会社だからです。
自社が扱っていない手段は、記事にも出てきません。
悪意ではなく、単純に商材の外だからです。
ただ、選ぶ側からすれば、3つ目を知らないまま選ぶのは危険です。
実際「SEOかMEOで悩んでいたが、答えは広告だった」というケースも、その逆もあります。
「両方セットで」が、中小企業の答えにならない理由

上位に出てくる記事を読むと、結論はだいたい同じ場所に着地します。
「セットでやると効果が高まります」→「ただし専門知識と労力が必要なので、外部に委託するのがおすすめです」
書いていることは間違っていません。
両方やれば効果は高まりますし、プロに任せれば早いのも事実です。
私自身、その「請ける側」の人間です。
ただ、これは予算と人手がある程度ある会社への回答です。
社員5〜10名で、Web担当が専任ではなく、本業と掛け持ちで手探りでやっている会社に「両方やって外注しましょう」と言っても、現実には次のどれかになります。
- どちらも中途半端に手をつけて、どちらも成果が出ない
- 業者に両方お願いして、月に何万円も払い続けて、効果がわからないまま止められなくなる
- 何から手をつければいいかわからず、結局なにもしない
いちばん多いのは3つ目です。
そして、なぜどの記事も「あなたにはこれは要りません」と書かないのか。
理由ははっきりしていて、書いた側が売っているものを否定することになるからです。
SEO会社が「御社はSEOをやらなくていい」とは言えません。
MEOのツール会社が「ツールは不要です、自分でやってください」とは言えません。
広告代理店が「広告はやめましょう」とは言えません。
それぞれの立場では、当たり前のことです。
私は3つとも扱っているので、どれを削っても仕事がなくなりません。
だから「これは要らない」と言えます。
ここから先が、その中身です。
型1:実店舗・地域商圏なら、MEOが先

飲食店、美容室、整体院、修理店、教室、小売店。
お客さんが「地名+業種」で探して、実際に足を運ぶビジネスは、迷わずMEOからです。
理由は3つあります。
1. お金がかからない
Googleビジネスプロフィールは無料です。
しかも、業者に頼まなくても自分でできます。
ここは受注する側が言いにくいところですが、実際やることは情報を正確に埋めて、写真を入れて、口コミに向き合うことが中心です。
詳しくは『MEO対策は自分でできる|業者が「プロじゃないと無理」と言う中身を解剖する』に、業者が「プロじゃないと無理」と言う中身を分解して書きました。
2. 競合が「同じ地域の同業他社」だけになる
SEOで戦う相手は全国の同業他社と大手メディアですが、MEOの相手は近所の何店舗かです。
同じ労力に対して、勝てる確率がまるで違います。
3. 効果が早い
SEOが4ヶ月〜1年かかるのに対して、MEOは数週間で動くことがあります。
以前、Googleビジネスプロフィールに投稿を2回しただけで1位になった店の事例を『Googleビジネスプロフィールの投稿は順位に効くのか|投稿2回で1位になった店の話』に書きました。
もちろん全部の店がそうなるわけではありませんが、こういうことが起きる余地があるのがMEOです。
「立地が悪いから」と諦めている会社ほど効く
MEOで一番もったいないのは、「うちは立地が悪いから」と最初から諦めているケースです。
以前担当した店舗では、Googleマップ経由の道案内(ルート検索)が月1万件を超えたことがあります。
人通りのある場所ではありませんでした。
お客さんは、通りかかって店を見つけるのではなく、スマホで探して、地図を頼りにたどり着いています。
詳しくは『「立地が悪いから集客できない」は本当か|月1万件超の道案内事例』に書いてあるので参考にしてみてください。
この型なら、SEOと広告は後回しでいい
実店舗型の場合、ホームページのSEOは「MEOが整ってから」で十分です。
むしろ、Googleビジネスプロフィールが空っぽのままブログを書き始めるのは、順番が逆です。
広告についても、地域商圏なら「まず要らない」ケースが多いです。
実際、検索需要が薄くてMEOとホームページで十分に届く商圏だったので、クライアントに広告を勧めなかったこともあります。
MEOで先にやるべきことの順番は、『Googleの口コミは「増やす」から始めると失敗する|返す・消す・減らす・増やすの順番』にまとめています。
型2:全国商圏なら、SEOが本命。広告は「繋ぎ」

通販、買取、修理受付、オンラインで完結するサービス。
お客さんが全国にいて、来店が前提でないビジネスは、SEOが本命になります。
Googleマップに出ても、そもそも「近くの人」がお客さんではないので、MEOの効き目は限定的です。
ただし、SEOには決定的な弱点があります。育つまでに時間がかかることです。
Googleの公式見解でも4ヶ月〜1年とされていて、私の体感でも、業種によってはそれ以上かかります。
この期間、売上はどうするのか。
ここで広告が出てきます。
「広告で立ち上げて、SEOが育ったら絞る」が現実的
私が運用しているクライアントのサイトは、この順番でやりました。
立ち上げ期
SEOがまだ何も効いていないので、Google広告に月10〜20万円を投下して、まず申し込みを作りました。
SEOが育ったあと
広告費を月3万円まで絞りました。
それでも広告経由で月15〜20件の申し込みが取れていて、広告経由のCPA(1件あたりの獲得コスト)は約1,700円です。
つまり広告は、「ずっと出し続けるもの」ではなく、SEOが立ち上がるまでの繋ぎとして使い、育ったら絞るという使い方ができます。
費用の全体像は『Google広告の費用は中小企業なら月3万円から|実データで見る本当の相場とSEOとの使い分け』に、少額から始める方法は『Google広告は月5万円以下でも申込みが取れる|少額予算の始め方』に書いています。
広告を使わず、SEOだけで伸ばす選択肢もある
もちろん、広告を1円も使わない選び方もあります。
以前担当したサイトは、私が入った当初の申し込みが月4〜5件でした。
計測を整備して改善を重ねた結果、ピーク時には月469件まで伸びています。
記事はすべてスタッフの方が書いたままで、広告費はゼロです。
商材の利益率が薄い場合や、広告の競合が激しすぎてクリック単価が高騰している業種では、こちらのほうが現実的です。
この話は『SEO対策は中小企業がどこまで自分でできる?|記事はスタッフが書いて申込みが月469件まで伸びた話』に詳しく書いています。
この型で一番きついのは「平坦期」
型2を選んだ会社が必ずぶつかるのが、やっているのに何も動かない期間です。
記事を書いても順位が上がらず、アクセスも増えない。
これが数ヶ月続きます。
ここで「SEOは意味がない」と判断してやめてしまう会社が、かなり多いです。
ただ、正常な平坦期とダメな平坦期は、見る数字を変えれば区別できます。
『SEOの効果はいつ出る?「4ヶ月〜1年」より大事な平坦期の見分け方』に、自社の実データを出しながら書きました。
型3:商材名で検索されない業種は、「今すぐ頼みたい人」を狙わない

ここが、この記事で一番書きたかったところです。
SEOとMEOの違いを解説している記事にも、実は「効果が限定的な業種」の話は出てきます。
土木・建設、特定のBtoB、取引先が限られている業種などです。
ただ、その先が書かれていません。
「効果は限定的です」で終わって、じゃあどうすればいいのかがない。
理由は単純で、その会社に売れるものがないからです。
私の考えを書きます。
この型の会社がやってはいけないのは、今すぐ頼みたいと思っている人をお金で買いにいくことです。
Webそのものをやめる、という話ではありません。
まず、広告からは手を引いてください
Google広告は、誰も検索していないキーワードには表示すらされません。
SEOも同じで、検索されていない言葉で1位になっても、来る人はゼロです。
新しすぎて名前が知られていない商材、取引が紹介と入札で決まる業種、お客さんがそもそも数十社しかいない業種。
こういう会社が商材名やサービス名で広告を出し続けるのは、いちばんもったいないパターンです。
ここは型2と決定的に違います。
型2は「探している人がすでにいる」から、広告がSEOまでの繋ぎになる。
型3は探している人がまだいないので、繋ぐものがありません。
でも、お客さんの「困りごと」は検索されている
ここを混同しないでください。
商材名で検索されないことと、お客さんがWebを使っていないことは、まったく別の話です。
工務店を例にすると、「リフォーム 会社」で探している人はその地域にそう多くありません。
でも「外壁 塗り替え 時期」「築20年 家 修繕」で調べている人は確実にいます。
まだ会社を探す段階ではなく、自分の家をどうするか迷っている段階の人です。
士業でも同じで、「税理士 ◯◯市」で探される数は限られていますが、「従業員が増えたときの手続き」「経費になるもの・ならないもの」で調べている経営者はいます。
この層を、商材名ではなく困りごとの言葉で拾いにいく。
これが型3のSEOです。
実際、私が担当したクライアントでも、サービスとは直接関係のない周辺知識の記事が一番アクセスを集め、そこからサイト全体を知ってもらえるようになり、申し込みも増えたケースがあります。
ただし、ここには落とし穴も。
「関係ない記事でいい」と聞いて範囲を広げすぎると、アクセスだけ増えて申し込みが増えない状態になります。(地域のランチ情報を書き続けてアクセスが倍になったのに、申し込みが増えなかった例があります)
業種別にどんな記事を書けばいいか、どこまでが「周辺」でどこからが「遠すぎる」のかは、『サービスに関係ない記事が一番集客できた|中小企業のブログ戦略』に、失敗例と判断基準まで含めてまとめているので参考にしてみてください。
型3の会社は、まずこちらを読んでください。
ただし、型2とは時間軸がまったく違う
ここが一番大事なところです。
型2のSEOは、すでに探している人を検索から拾う施策なので、順位が上がればその月から申し込みが動きます。
型3のSEOは違います。
記事を読んだ人が、その日に問い合わせることはほとんどありません。
困りごとを調べていただけで、まだ発注する段階にないからです。
効いてくるのは、半年後や1年後に「そういえば、あのサイトに詳しく書いてあったな」と思い出してもらったときです。
会社の名前と中身を覚えてもらう仕事なので、1年がかりの前提で考えてください。
そして、これを正直に言う業者はほとんどいません。
「SEOをやりましょう」と提案する立場からすると、「1年は数字が動きません。その間の売上は営業と紹介で作ってください」とは言いにくいからです。
契約が続きませんから。
でも、実際そうです。型3の会社がWebだけで売上を作ろうとすると、たいてい途中で心が折れます。
営業や紹介の動きと並走させて、Webは「後から効いてくる資産」として積む。
この前提を置けるかどうかが、型3の分かれ目です。
何より先に、「調べられたときに負けない」こと
そして型3の会社にとって、記事を書くより優先度が高いことがあります。
紹介で名前を聞いた人、展示会で名刺を交換した人、電話をくれた相手は、ほぼ必ず社名を検索します。
そのときに、更新が5年前で止まっていたり、スマホで見たらレイアウトが崩れていたりすると、そこで判断されます。
型3の会社にとってのホームページは、まず集客装置である前に、信頼の裏付けです。
ここで落とさないことのほうが、検索順位を1つ上げるより、はるかに売上に効きます。
困りごとの言葉で知ってもらう記事に着手するのは、そのあとで構いません。
この考え方は『中小企業にホームページは必要か|作るべき7つの理由と失敗しない始め方』と、『ホームページの信頼性を高める方法|顔出ししなくても「実在する会社」だと伝える具体策』に書いています。
自分がどの型かを見分ける、3つの質問

ここまでを踏まえて、自社がどれに当てはまるかを判断してください。
3つの質問に答えるだけです。
質問1:お客さんは「地名+業種」で探しますか?
「船橋 整体」「八千代 焼肉」のように、地名とセットで探されるビジネスかどうか。
→ 「はい」なら型1(MEOが先)
質問2:自社の商品・サービスは、そもそも検索されていますか?
商品名やサービス名、「◯◯ 修理」「◯◯ 通販」のような買う直前の人が打つ言葉が、そもそも実際に検索されているかどうか。
ここは感覚で判断しないでください。
とはいえ専用ツールも要りません。
無料で、いますぐできる確かめ方が3つあります。
1. 検索窓に打ち込んで、続きの候補が出てくるか見る
Googleの検索窓にその言葉を入れると、続きの候補が勝手に並びます。
あれは実際に検索されている言葉です。
何も出てこない、あるいは自社と全然関係ない候補ばかりなら、その言葉で探している人はほとんどいません。
2. 実際に検索して、同業他社の広告が出ているか見る
検索結果の一番上に「スポンサー」と書かれた広告が並んでいれば、その言葉にお金を払う価値があると判断している会社が実在するということです。
逆に広告が1件も出ていない言葉は、探している人が少ないか、出しても割に合わないと各社が判断している言葉です。
これが一番早い答え合わせになります。
3. Search Consoleで、自社がいまどんな言葉で表示されているか見る
すでにホームページがあるなら、Search Consoleに「自社のサイトがどんな検索語で表示されたか」の実データが溜まっています。
無料で、自社のサイトさえあれば見られます。
想定していなかった言葉で表示されていることも多く、ここに型を判断する材料が眠っています。
見方は『Search Consoleで毎月チェックすべき3つのこと|クリック率6.7%→18.4%に改善した手順』に書きました。
→ 「検索されていて、お客さんが全国にいる」なら型2(SEOが本命・広告は繋ぎ)
→ 「ほとんど検索されていない」なら型3(広告はやめて、困りごとの言葉で知ってもらう)
質問3:申し込み・問い合わせは、サイト上で完結しますか?
フォームや予約がサイト内で完結するのか、それとも電話や訪問が前提なのか。
ここがWeb上にないと、広告を出しても成果が測れず、「効いているのに効いていないように見える」状態になります。
広告が自社に効く構造かどうかは、『Google広告に効果はあるのか|7社運用してわかった「効くか効かないかは運用の前に決まっている」』で、効く条件と出にくいケースを全部並べて解説しています。
完結するなら、型2の広告が効きます。
電話や訪問が前提なら、広告より先にMEOとホームページの信頼づくりを優先してください。
まとめ:全部やる必要はありません
もう一度、順番を整理します。
- 実店舗・地域商圏(型1) → MEOが先。 無料で自分でできて、競合は近所だけ。SEOと広告は後回しでいい
- 全国商圏・オンライン完結(型2) → SEOが本命。 育つまでの数ヶ月を広告で繋ぎ、育ったら広告を絞る
- 商材名で検索されない業種(型3) → 広告はやめる。 まず「調べられたときに負けないサイト」を整え、そのうえでお客さんの困りごとを記事にして、1年がかりで覚えてもらう。営業・紹介と並走させる
「SEOとMEO、どっちをやるべきか」という質問の答えは、業種によって変わります。
そして多くの会社にとって、答えは「両方」ではありません。
限られた予算と時間を、効かないほうに割かないでください。
中小企業にとっては、何をやるかを決めることより、何をやらないかを決めることのほうが効きます。
自社がどの型に当てはまるのか、社内で判断がつかないという場合もあると思います。
特に「実店舗もあるが通販もやっている」「BtoBだが一部は検索される」といった、型がまたがるケースは迷って当然です。
そういうときは、いまのホームページとGoogleビジネスプロフィールの状態を一度見せてください。
7社を運用している立場から、どこから手をつけるべきか、そして何をやらなくていいかを、忖度なしでお伝えします。
SALUTAMのお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。